Back To Top

foto1 foto2 foto3 foto4 foto5
羽鳥だいすけのホームページへようこそ!

11月11日に区民委員会に所管報告「旧中野刑務所正門にかかる学術調査調査結果について」(区議会HPへのリンク)が報告されました。

今年度予算の採決の際し、『区民費中「旧中野刑務所正門学術調査」については、迅速かつ多角的な調査・検討を行い、議会の理解を得た上で、平和の森小学校新校舎等整備に支障を来さないよう努めるとともに、良好な教育環境を確保されたい。』という付帯意見が可決されたことを受けて、行われたものです。

191127中身は大きく分けて、旧中野刑務所正門の学術調査と、曳家が技術的に可能かどうか、ということに分けられます。学術調査本文のPDFはこちらになります。(※スキャニングした画像としてのデータになります)

 

分かったこと・区の答弁の中身は様々ありますが

オーセンティシティシー(真正性)の視点から現地で保存されることが望ましいが、やむを得ない場合には移築などもありえる

曳家は技術的には可能、かかる工期は5年、費用は約5億円。平和の森小学校の工事開始は門の工事完了後から。ただし、可能なところから工事は始められる

③現地保存の場合でも、今回の調査で初めて建設当時より約60cm盛り土されていることが分かり、建設当初の姿に戻すために揚屋(地盤の高さに建物を持ち上げること)が必要であり、約4億円かかる(これまでの現地保存費用概算は8500万円)。ただ、11/27のいさ議員への区長答弁では「創建後のどの時代の姿を保存するかは一概には言えない」と答弁もあったので、現地保存の費用もやり方次第と思います

④現地保存の場合、揚屋をせずとも掘削でも可能だが、その場合は他の地盤面よりも低くなる関係で排水施設も必要になる。その費用や工期や算出していない

⑤保存の場合、学校施設との共存が必要

移転した場合に文化財としての価値がどうなるのかについての判断は都の所管

 

引き続き、費用・工期とともに学校施設との関係も含め注視していきます。

20200217 本会議での質問はやはり緊張しますね。この間、地域のみなさんからお寄せいただいた声も盛り込み、質問をつくることができました。本当に質問が至らないところもあり(特に気候変動対策についての部分とか)、反省もしつつです。質問全文を載せていますので、ぜひご覧ください。

 

 

 

※追記 区議会ホームページの議事録該当部分へのリンクはこちら

 

 

2020年第1回定例会にあたって、日本共産党議員団を代表して質問を行います。

1.施政方針説明と区長の政治姿勢について
 最初に世界的に大きな問題になっているコロナウィルスによる新型肺炎について伺います。2月17日時点で新型肺炎の罹患者は中国を中心に世界で7万人以上、死者1700人以上となっています。メディアで連日大きく取り上げられていることや蔓延する情報の中にはデマも含まれており、区民にも不安が広がり、連日の問い合わせは約100件にも上っています。多くの専門家が指摘しているように、過度に恐れるのではなく、通常とっている手洗いやうがい、消毒などが極めて有効だと言われています。正確な情報を公的な機関がしっかりと発信することが重要です。区はホームページの最初の画面にコロナウィルス感染症についてのリンクを設け、区民に周知をしていますが、不安を解消させるほど情報が広がってはいないのではないでしょうか。
Q1.他にも区のお知らせ掲示板やジェイコムとの協力など、区が持つあらゆる媒体を活用して、予防についての知識や感染が疑われる場合の対応など、区民の不安にこたえる情報発信が必要ではないでしょうか。

 またこの病気が中国を中心に広がっていることから現在、「中国人お断り」など、病気にかかった人を区別せず、特定の国へのヘイトスピーチにつながる言動が特にインターネットを中心に広がっています。「何かを排除すれば安心な気がする」という気分感情に付け込んだものであり、放置するわけにはいきません。
Q2.正確な情報発信とともに区として「不安に付け込んだヘイトスピーチは許さない」という発信も必要ではないでしょうか。

 施政方針説明についてです。新年度に向けて取り組みの中で「子どもの権利条例の制定検討」「認可保育園の新規開設」「子どもの貧困対策の具体化」「洪水ハザードマップの充実」「木造住宅耐震改修助成の実施」など、この間、多くの区民から求められてきた施策が示され、高く評価いたします。
その中でも私が大事だと思ったのが、「子どもの貧困対策の具体化」です。なかなか声として上がってきづらい「貧困」という問題に目を向けた対策は、わが会派としても繰り返し求めてきたことであり、積極的な施策展開を期待するものです。
 この「貧困」とは政治によって作られています。その中でも昨年10月に行われた消費税増税は国民の暮らしに重大な影響を及ぼしています。内閣府の景気動向指数は5カ月連続マイナス、総務省の家計調査では1世帯当たりの消費支出は3カ月連続マイナスとなりました。本日発表された10~12月期の国内総生産(GDP)は年率換算で6.3%減と消費税増税による深刻な不況の現状は明らかです。
Q3.区長は今の日本経済と区民の生活実態について、どのような認識をお持ちでしょうか。お尋ねします。

 この項目の最後に「対話の区政」についてお尋ねします。昨年、34歳で首相に就任したフィンランドのサンナ・マリン首相は「社会の強さは、富裕層が持つ富の大きさではなく、最も弱い立場の成員がどれほど豊かで快適な生活を送れているかによって計るべきものである」と述べています。彼女の人生経験にも裏打ちされた素晴らしい発言だと思います。先日発表された中野区基本構想素案に「10年後に目指すまちの姿」の中で「人との交流やつながりを広げ、誰一人取り残されることのない安心できる地域社会を築きます」と明記されました。社会の中で困難な人に目を向ける姿勢が区政の中にあることは大きな希望です。
 区長は施政方針説明の「むすびに」の項目の中で「常に変わりゆく社会課題に即応していくためには、課題を共有し、ともに考え、ともに解決に向けて行動する人を増やしていくことが不可欠であると考えています」と述べています。区長が「活動人口」と呼ぶ区民を大きく広げていくことは非常に重要です。そうした区民を増やすには、区政に「自分の意見が反映された」と思えることが大切です。そのことは「中野区基本構想に関するアンケート」において、「どのような基本構想なら親しみが持てるか」という設問において、「区民の意見が反映された基本構想であること」という回答が一番であったことからも明らかです。
「対話の区政」は対話をしたら終わりではありません。対話をして、それを生かす過程と区民にその過程が見えることが大事です。
Q4.区長にとって、「対話の区政」とは何でしょうか。答弁を求め、この項目を終わります。

 

2.公契約条例について
 次に公契約条例について伺います。昨年12月に中野区公契約条例推進委員会が主催した学習会に参加してまいりました。多摩市で公契約審議会の委員長を務めている古川景一さんをお招きしての学習会は大変示唆に富むものでした。公契約条例は前区長の下では、「効果が明らかでない」として制定は検討されてきませんでしたが、酒井区長が公約にも出され、区の方針は180度変わりました。そして「当初予算案の概要」にも項目出しがされました。地域で公契約条例に向けての区の方針を伝えると多くの方から「いい条例にしてほしい」と歓迎の声が聞かれ、条例についての期待を感じます。「区民のためになる良い条例にしたい」、私もその思いでいます。その上で何点か伺います。
Q5.まず、条例の制定及び施行に関する工程をお示しください。

 2018年第2回定例会で公契約条例の役割について尋ねたいさ議員の質問に対し、区は「公契約条例により労働者への適正な労働条件や処遇を確保し、ダンピングの防止を図ることにより公共サービスや公共工事の質の向上、地域経済の活性化などが図られる」と答弁されています。私も同感であります。しかし条例が理念を宣言するだけのものではこの目的は達成できません。
Q6.条例は労務報酬下限額の定め、いわゆる賃金条項があるものにすべきと考えますが、区の見解をお答えください。

 また賃金条項があるだけでも実効性があるとは言えません。私も参加した学習会では福島第一原発事故後の除染作業において労働者に支払われるはずの危険手当について紹介されていました。工事の発注者である環境省は危険手当分のお金は出しているものの、それは労働者の手に渡らず中間業者がピンハネし、労働者は被曝の危険がある仕事を低賃金で行っている実態があります。その背景には環境省が「労働者を雇用する事業者が労働者に危険手当の支払いを約束していれば、支払われていなかった場合に摘発する」となっているからです。これでは現場の労働者の低賃金が放置されてしまいます。建設の現場では重層下請けの構造により、発注段階では適正な賃金で計算したはずなのに、現場で働く労働者の賃金に反映されていない事例があると聞きます。
Q7.そのようなことを防ぐために、何次下請けであろうとも労働者に支払われた賃金が労務報酬下限額を下回った場合、労働者の賃金請求権が発生することを条例に明記すべきと考えますが、区の見解をお答えください。

 また労働者に賃金支払いがきちんと行われているかを把握するためには、賃金台帳を区がきちんと把握できるようにしなければなりません。昨年まで渋谷区では公契約条例に労務報酬下限額があることとそれを担保するための賃金台帳の作成・提出が明記されつつも、その内容が不十分であったため実際の賃金が労務報酬下限額を下回った場合でもそれが放置されている実態があったそうです。それを指摘する多くの区民の声があり、ようやく昨年、そうした抜け穴をふさぐ要綱の改正を行ったそうです。
Q8.区の条例制定にあたっては他自治体の事例もよく研究し、受注者に対して一人ひとりの労働者の賃金をきちんと保証する賃金台帳の提出を義務付ける必要があると考えますが、区の見解をお答えください。

 重層下請け構造がある以上、それがある上でなお実効性を確保する仕組みが必要です。区と受注者との関係だけで賃金条項を守らせるというだけでは足りません。また実行させるにしても
Q9.区との契約条項の中に、受注者に対して労働条件の確保を下請けと連帯して責任を負わせる項目が必要です。さらに条例違反には契約上の不利益を負わせる項目が必要ではないでしょうか。区の見解をお答えください。

 また公契約約条例の運用を始めていけば、賃金台帳の確認や事業者への指導など、条例に基づく職員の仕事は大きく増えることが想定されます。公契約条例は条文があるだけでは実効的ではありません。その条例を運用する職員が、適正な単価の保障が業務の質を保障し、区の発展のためになるという公契約条例の意義をよくとらえる必要があります。
Q10.そのために、特に制度の開始時期に条例の意義について区職員の研修を行うべきではないでしょうか。また、適切に条例の運用を行えるよう、先行自治体の事例も研究して、職員の配置数についても加増を検討すべきではないでしょうか。

 また条例が対象とする労働者の範囲も重要な論点です。公契約条例を制定した自治体の中には、雇用されている労働者のみが対象とされ、一人親方や指定管理者の下で働く労働者が対象とされていない場合もあります。
Q11.しかし、条例の趣旨からすれば、こうした方々も対象とすべきではないでしょうか。行政が働く貧困層を生み出してはいけません。区の見解をお答えください。

 この条例が中野区のさらなる発展に貢献することを願ってこの項目の質問を終わります。

 

3.気候変動対策について
 続いて気候変動対策について伺います。昨年は気候変動問題が一躍注目を集めました。世界各国で若者が立ち上がり声を上げています。そこには、今行動を起こさなければ、取り返しがつかなくなるという深刻な危機感があります。日本においても昨年の台風被害、この冬の歴史的な暖冬など気候変動の影響を大変身近に感じるものとなっているのではないでしょうか。世界の多くの識者が触れている通り、気温上昇を1.5度未満に抑える確率を66%以上にするために残っている炭素排出量は現在の世界の排出量のわずか8年分しかありません。まさに1年1年の真剣な取り組みが求められています。また最近、危機感をもって言われているのが、温度上昇がある程度までいくと、温暖化の連鎖反応が起こり、気温上昇が止められなくなるということです。
 来年度に蓄電池への導入補助事業が行われることは重要と考えますが、やはりこの危機的な事態に対処するために、環境基本計画策定待ちにせず、新たな政策を出すことを強く求めます。
こうした危機的な事態にあることを自治体が「気候非常事態宣言」を出して、積極的に周知していく動きが世界的に広がっています。日本でも昨年、長崎県壱岐市を皮切りに8自治体が宣言しましたが、2020年に入ってすでに7自治体が新たに宣言を出すなど、今年はその動きはさらに加速すると思われます。以前の質問でも指摘しましたが、すでに気候変動対策に動くことは、ステータスではなく、スタンダードになっています。エネルギーの一大消費地である23区の中野区で「気候非常事態宣言」を出すことには大きな意味があります。
Q12.中野区も「気候非常事態宣言」を出し、世界に向け気候変動対策に取り組む区の姿勢をアピールすべきではないでしょうか。区の見解をお答えください。

 先日発表された中野区基本構想素案には環境に向けた取り組みの中で「脱炭素」を目指すことが掲げられました。これまでは「低炭素」でしたが、現在の時世に沿って目標を引き上げたとのことで、非常に重要なことです。区として「脱炭素」を目指すとなれば、広義には民間部門を含めて、中野区からのCO2排出量を実質ゼロにすることが含まれます。
基本構想は10年後に目指す中野区の姿を示すものですから広義の意味でも達成に向け努力していくべきです。
Q13.環境基本計画の改定に向けて、どのような方策ならば可能か検討していくべきではないでしょうか。

 また「脱炭素」を狭義で捉えれば、事業者としての中野区からのCO2排出を実質ゼロにするということになります。現在、中野区は電力の多くを再生可能エネルギー比率の高いものを購入しているとのことで、その比率は全消費電力のうち80%を占めています。
Q14.残りの20%についても再生可能エネルギー比率の高い電力への切り替えを検討するべきではないでしょうか。また80%の部分に関しても、再生可能エネルギーを100%に近づけていくべきではないでしょうか。

 こうした使用電力の100%再生可能エネルギー化への取り組みを可視化するものとして、「再エネ100宣言 RE Action」というものがあります。日本の環境NGOや研究機関が主催をするもので、2050年までに使用する電力を100%再エネ電力とすることの宣言であり、その達成のために毎年、進捗状況を報告する事を求めています。この宣言をすることで、その場所に再生可能エネルギーの需要があることをアピールし、再生可能エネルギーの供給を増やすことを目的としています。
Q15.気候非常事態宣言と合わせ、この「再エネ100宣言 RE Action」を出してはいかがでしょうか。

 現在、区が購入している新電力は出光グリーンパワーやエネット株式会社など、大手電力によるものになっています。電力切り替えは大事な取り組みの一つですが、再生可能エネルギーの利点の一つに地域経済循環を促すものになるというものがあります。その点で私は再エネの潜在的供給量が多い地方の自治体との連携が考えられないかと思います。世田谷区では2自治体、横浜市では12自治体と連携し、区内の個人あるいは企業・団体などに再生可能エネルギーの電気を供給しています。区が使用する電力をこうした地方から供給を受けるということも再生可能エネルギー比率を上げるために考えうる方策ではないでしょうか。
Q16.例えば、里まち連携自治体との協同などを検討してみてはいかがでしょうか。区の見解を求めて、この項目の質問を終えます。

 

4.交通政策について
 続いて交通政策について伺います。第4回定例会において区は、「交通弱者の移動環境の改善について」という報告を行い、一昨年のアンケートで明らかになった若宮・大和町の交通不便を解消するための実証実験を行う方針を示しました。地域で「こういう報告がありましたよ」と話をすると、「ぜひともやってほしい」「ルートはどうなるだろうか」と歓迎と期待の声が寄せられます。
 報告によれば、コミュニティタクシーの利用が1日に70人程度なければ採算を取ることは難しいとのことです。実証実験の際に「もし本当に走った場合はどのくらいの人が利用するか」ということがきちんと推定できるようにしなければなりません。先日、特別委員会で視察に伺った西東京市では昨年実証実験を行いましたが、参加がかなり低調だったと聞ききました。周知の課題もあったとのことでしたが、利用するにあたっての事前登録が必要であったことや、運行日が一週間のうち限られた日数にとどまっていることも原因なのではないでしょうか。
Q17.中野区の実証実験においては、事前に回数券を買ってもらう事や、事前登録を必要としない事、毎日の運行を確保することなど、参加しやすい条件を整えることが必要ではないでしょうか。

 またコミュニティタクシーのような地域公共交通は地域住民から認知され、親しまれることが非常に重要です。この間の区の取り組みでも周知しただけでは実証実験を行っていることすら知られないという事になりかねません。実証実験に当たって住民を巻き込む取り組みが必要です。岐阜市ではコミュニティバスの運行の際に、ルート選定や運賃などの基本的事項を決める場に市民が参加している仕組みがあります。そうした中で、利用者が落ち込んだ際にも「自分たちのバスを守ろう」と乗車運動をおこしたり、利用率をあげて運賃値下げを実現させたりしています。
Q18.今回の実証実験の取り組みの際には、地域住民と広く語り、地域住民にとって必要とされるルートの検証を行うなど、たくさんの方が利用するような方策を考えていくことが必要ではないでしょうか。

 交通空白地域の移動支援の検討とともに「交通政策基本方針」の作成が報告されました。中身については今後議論していかなければなりませんが、今日は体制の問題について一点伺います。
 交通政策基本方針とは基本的人権たる交通権を区民に保障するために、中野区としてどのような課題があり、どのような施策を行わなければならないかを明らかにするものです。交通政策基本方針がとらえる範囲について国土交通省は「自治体」を単位としていますが、同じ自治体の中でも課題は様々であり、その地域の「生活圏域はどこか」というそこに暮らす生活者の視点を取り入れることが重要です。また中野区は今後、高齢者特に単身高齢者の増加などの課題もあり、方針を作るにあたっての分析作業には高い専門性が必要です。
 区は今年度から交通政策を組織として新たに設置しましたが、都市計画課長と交通政策課長が兼ねられているなど、現在の体制では基本方針策定の業務にも支障が出てくるのではないでしょうか。
Q19.交通政策に関する知識や経験のある土木技術系職員の配置や東京都などで公共交通政策や整備などの専門経験のある人材の配置など、組織体制の強化が必要と考えますが、いかがでしょうか。伺ってこの項目の質問を終えます。

 

5.児童相談所について
 続いて児童相談所についてお尋ねします。区は2021年度の児童相談所開設に向けて、準備を進めています。地域の身近なところにこうした拠点ができるということで大いに期待をしております。今日はそこで働く職員についてお尋ねをいたします。今中野区では児童相談所開設時の○○人という職員定数を満たすべく各地に職員を派遣し研修を行っています。区はそのことと東京都児童相談所の元職員などを会計年度任用職員でスーパーバイザーとして雇い、体制を充実させると言っています。しかしこの間多くの専門家などが懸念しているのは一度働いた職員がわずかな期間で辞めざるを得ないという実態です。昨年会派として視察に伺った静岡市児童相談所でも 多くの職員が1、2年で児童相談所を辞めてしまうとのことでした。また、今こうした事例が全国各地で相次いでいるだけに職員の引き抜き競争も起こっていると聞いています。福祉職については健康福祉部が中野区福祉職人材育成プランを作成し、研修にあたらせていますが、こうした現状があるだけに開設当初の人員分の研修は行なっているから大丈夫とは決して言えないのではないでしょうか。
Q20.児童福祉に関する知識や相談援助業務のスキルのある職員を継続して児童相談所に配置するため、区の福祉職全員員について、児童福祉の専門的知識や相談援助業務に関する研修を受講させるなどの方策も検討すべきではないでしょうか。

 昨年11月に行われた特別区講演会で児童相談所についてのお話を伺いました。そこで区の児童相談所が設置されることで懸念されることが何点か触れられていました。
一つは今後の子ども家庭支援センターのあり方についてです。区は児童相談所の設置とともに総合子どもセンターとしてまとめられてしまいます。「児童相談所」という名称から相談に足踏みしてしまうということもあると聞きます。子ども家庭支援センターは地域の身近な子育て相談の拠点ということで、児童相談所とは別の専門性が求められる側面もあります。そうした時に、一体化してしまうとなれば、「相談しづらい」ということも出てくるのではと懸念します。役割分担が必要だと感じました。
Q21.区民が相談に来やすくするためにも、子ども家庭支援センターとして残して、役割分担を明確にしておくことでも検討すべきではないでしょうか。

 また、介入と支援の分離も課題です。児童相談所は子育てなどの支援を行うところであると同時に、非常時には児童を引き離すなどの介入の措置をとるところでもあります。介入を行った担当が継続的に支援をすることで問題が生じないか、と議論があると聞きます。
Q22.しかし一方で事案の引継ぎがうまくいかないなど、事例もあると聞きます。そういったことには注意を払いつつも、緊急的な措置が必要な相談に対して迅速な対応ができるようにするため、機能分化した方がよいのではないかと考えますが、区の見解をお尋ねします。

 またもう一つの懸念事項は単独児相になることによる事例の共有が円滑に行えるのかということです。これまでは都の児童相談所であったために、引っ越してもネットワークで結ばれた事例共有がすぐに行えていましたが、単独児相になると、それぞれの情報はそれぞれの区のものになります。担当にお聞きしましたところ、個人情報の問題もありすべての情報を共有するというわけにはいかないとのことでした。都を中心に事例共有の仕方を検討しているとのことですが、情報の齟齬から救える命が救えなくなってしまったということになってしまってはいけません。
Q23.専門家も交え、必要な情報を共有できるよう研究を進めていくべきではないでしょうか。

今、23区のほとんどでいっせいに児童相談所の開設準備が進められていますが、開設時に職員数が確保することが難しいということで、開設を遅らせると発表したところも出てきました。中野区でも今すぐ、そういう状況というわけではないとは思いますが、ぜひ区には開設時に働くことになる職員状況をよく見極めていただきたいと要望いたしまして、この項の質問を終わります。

 

6.学校統廃合について
 最後に学校統廃合について伺います。昨年11月に中野区教育委員会において、第四中・第八中と鷺宮小・西中野小の統合時期についての議論が行われました。議論の結果、区の両方の学校とも、当初予定通り合併するとしています。
区は適正な学校規模を確保することを統廃合の基準に置いていますが、区が適正な学校規模を確保できていないとしている小規模校のデメリットでは切磋琢磨する場面が少なくなる、人間関係が固定化する、学校行事に制約を受けるなど、根拠としては薄いのでと感じます。またこの間、学校統廃合により生徒・児童数が増え、一人当たりの校庭面積の基準を下回る新校が相次ぐなど、「適正な学校規模」にしたことによって、「良好な学校環境」が妨げられている事例が多く発生していると感じます。
Q24.区が適正な学校規模が必要というエビデンスとは何なのでしょうか。また適正な学級規模にすることが、かえって良好な学校環境を妨げているのではないでしょうか、見解をお尋ねします。

 また先の報告で述べられたことですが、第四中・第八中統合新校の新校舎完成は美鳩小擁壁の工事により2年の遅れとなっていますが、報告の中ですでに「さらなる延長もあり得る」との記述があり、何の保証もありません。そうなれば、今後ますます生徒に遠距離通学を強いる期間が長くなってしまいます。「仮校舎からすぐに戻ってこれるなら」と思っていた人も裏切られた思いでいる人は多いのではないでしょうか。昨年の予算特別委員会総括質疑でも触れましたが、この間の人口推計には大きな狂いがあり、そのことが他の再編校にも大きな影響を及ぼしています。新校舎がいつできるかも未定という、新たに考える時間ができたわけですから、
Q25.第四中・第八中、鷺宮小・西中野小という第二次再編計画でまだ統合していない学校についてはその再編時期を見直すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 

 党区議団として、この間お寄せいただいた声を緊急要望としてまとめ、区長と教育長に対して届けました。どれもこれも実現が待たれています。引き続き、声を集め実態を届けるとともに、議会でも実現に向けて努力していきます。

20200309

 

要望書のPDFはこちらから

 

中野区長 酒井直人様
中野区教育長 入野貴美子 様
日本共産党議員団


新型コロナウイルス対策についての緊急要望

 

 都内・区内でも新型コロナウイルスの感染が拡大し、区民に不安が広がっています。党区議団にも、「給食への納品がなくなってしまい、かなりの痛手」、「イベントの中止により 70 万円の売り上げがなくなった」、「 学校を早く開いてほしい」など切実な声が寄せられています。今般の事態に対して、政府の責任において実施すべきものは多いものの、中野区も、地方自治体として住民の暮らしと命を守る立場で、以下の対策について緊急に行うことを求めます。


1.子ども・教育の分野について

・休校中であっても、学校で受け入れている児童のために給食の提供を検討すること
・3 月16日以降の学校休校の延長の判断にあたっては、科学的知見に基づいて判断すること
・学校休校の判断について子どもたちに理解してもらえるよう丁寧な説明を行うこと
・学童クラブの人員配置への支援を行うこと
・子どもの居場所を確保するため、児童館・キッズプラザについては運営のあり方を柔軟に検討すること

 

2.産業・労働・区民のくらしに関わる分野について

・新型コロナウイルス感染症に伴う中小企業相談窓口を設置すること
・他自治体の事例も研究し、売り上げが急減している中小企業に対して、利子補給制度や融資制度の実施を検討すること
・小中学校の給食食材等の納入業者に対して、損失を補填する措置をとること
・休業を余儀なくされているフリーランス、個人事業主に対して雇用調整助成金の特例と同様の補償を国や都と連携して実施すること

 

3.コロナウイルス対策全般に関わること

・マスクが不足している医療機関に対し、災害備蓄用マスクを支給すること。また、高齢者施設、介護施設、介護事業所、民間保育施設、障害者施設の実態を調査して必要なマスクを支給すること
・区民の不安にこたえるため、保健所の相談体制を強化すること
・周辺自治体や都、国、医師会などの関係機関とも連携を強化し、迅速な情報共有と正確な情報発信に努めること
・感染者への差別・偏見、事業者への風評被害を防ぐ措置を講じること
・以上述べた事項について、 適切な財源保障がなされるよう 国や都 に対して要望を取りまとめて提出すること

 3月9日に引き続き、区長及び教育長に対してコロナウイルス対策の強化を求める要請行動を行いました。先日の第一回定例会では、同時に2020年度補正予算(第一次)も可決され、中野区としての予算を伴ったコロナウイルス対策が始まりましたが、不安な思い、お仕事や生活への影響を語る方がたくさんいらっしゃいます。そんなことを書いていたら、前回の要請書の2倍ほどの分量になってしまいました。

20200331

要請書のPDFはこちらから

 

中野区長            酒井直人      様
中野区教育長    入野貴美子   様

日本共産党中野地区委員会
日本共産党中野区議団

新型コロナウイルス対策についての要望事項

 3月23日以降、都内では連日2桁の新型コロナウイルスの感染者が確認されています。小池都知事は25日に「感染爆発の重大局面」、30日には「さらなる外出自粛を」と発言するなど、爆発的な感染につながる恐れがあるという強い危機感を表明しました。今回の新型コロナウイルスの影響は、消費税増税により経済が落ち込んでいる中で起こっています。こういう時にくらしと営業を守る手立てや支援、区民の不安に応える政策が必要とされています。区議団が実施したアンケートにも多くの回答が寄せられています。こうした区民の声に応えるために、3月9日の緊急要望に続き、日本共産党中野地区委員会及び日本共産党中野区議団として以下の事項について要望するものです。

1.衛生用品・機器の配布について
・区内医療機関、高齢者施設、介護施設、障害者施設、子ども施設などの実態を調査し、必要なマスクの配備、消毒液の配布を行うこと
・区内の保育園、幼稚園、小学校、中学校の児童生徒にマスクが行き渡るよう手立てをとること
・妊婦へのマスク配布を行うこと
・児童館など子ども関連施設に非接触体温計などを配備すること

2.学校教育・子どもの居場所について
・授業の遅れを取り戻す上で、子どもに過度の負担がかからないように努めること
・区内の感染状況を見極め、学校再開について柔軟に判断すること。また休校の際には子どもの居場所の確保に努めること

3.産業・労働・区民の暮らしについて
(1)税、保険料、経済的負担への対策について
・介護保険料や国民健康保険料の減免措置が必要な人に届くように周知の徹底を行うとともに、新たな減免措置の創設を検討すること
・国民健康保険の資格証明書世帯の被保険者に対して、短期被保険者証への交付に切り替えること
・税、保険料について減免や納付猶予・分割納付などの積極的な対応・相談に応じること
・保育料や学校休校中の給食費、学童保育料の減免措置を検討すること

(2)融資、損失補償、経済的支援について
・小中学校の給食食材等の納入業者に対して、損失を補填する措置をとること
・区内文化芸術団体及びイベントスペースの運営事業者に対して、自粛要請以降の損失について調査し、国や都に対して損失補償を求めること
・社会福祉協議会の「緊急小口資金」と「総合支援資金」の特例貸付について周知に努めること
・「マル経融資」「中野区産業経済融資」について、区内事業者への周知と申請から融資決定までの期間を短くするよう努めること
・「新創業融資制度利子補給金」を拡充し、利率を0%にすること

4.区民への情報発信・相談体制について
・プライバシーに配慮しつつ、区民の疑問に応える情報発信に努めること。また納得が得られるよう情報発信のあり方を改善させていくこと
・感染者への差別・偏見、事業者への風評被害を防ぐ措置を講じること
・妊婦については、高齢者と同様の基準に基づいた対応と相談・周知の徹底に努めること
・区民からの簡易な問い合わせに対応するコールセンターの設置や職員体制の増強を行って相談窓口の充実を図ること
・ホームページや区報、J:COM中野など、様々な区の広報媒体を活用して、正確で迅速な情報提供を行うとともに、分かりやすい情報提供に工夫すること

 以上述べた事項について、予算措置が必要なものについては随時、補正予算を組み、早急な対応を行うこと。
 また適切な財源保障がなされるように国や都に対して要望を取りまとめて提出すること。

 区長に対して、区議団として3度目となる要請行動を行いました。接触機会を減らすために今回は少人数での要請でした。私からは、国や都の給付金の対象外となった事業者からは失望や事業継続への深刻な不安の声が寄せられていることを紹介しました。区長からは「ぜひ区民の声を伝えてほしい」と言われました。共産党の得意分野です! 引き続き、区民のくらしや生業を支えるため、努力してまいります。

20200428

要請書PDFへのリンクはこちらから

 

中野区長 酒井直人 様

日本共産党中野地区委員会
日本共産党中野区議団

新型コロナウイルス対策についての要望事項

 新型コロナウイルスの感染者は東京都で約4000人となお増加し続けています。緊急事態宣言が出されましたが、未だ事態の収束も見えず、くらしや生業、教育、医療機関などへの影響はますます深刻になっています。この間、区民からの声に基づき3月9日、3月31日と要望を提出してきましたが、改めて下記の事項について要望いたします。

1.区内医療・介護体制維持のため以下のことを行うこと
(1)感染者用入院ベッドを確保した医療機関への補填など区内医療機関への補助金支給
(2)マスク・消毒用アルコール・予防衣といった必要な備品の確保
(3)特例的に保育を行う対象者の要件を緩和することなどの支援を行うこと
2.PCR検査センターへの移送や陽性患者移送のための車両を確保すること
3.持続化給付金や東京都感染拡大防止協力金の対象とならない事業者に対して、区独自の給付金制度や家賃補助制度をつくること
4.区が発注する工事において、工事が一時中止となった場合でも事業者からの相談に応じ、出来高払いなど事業や生業の継続に支障が出ない措置を検討すること
5.希望する小中学生への給食・配食など食事の提供を行うこと
6.在宅保育にかかる保育料の軽減措置の対象期間の延長や育児休業中の保護者の復職日の期限の延期を行うこと
7.国民健康保険被保険者に対して傷病手当金を支給できるようにすること。区独自の国保料の減免制度を創設すること
8.大型連休中に区民からの相談に応じられるよう、電話による相談体制の整備や社会福祉協議会、福祉事務所の臨時的な開所などの対策を行うこと
9.特別定額給付金の支給が迅速に行われるとともに、申請に対する区民からの問い合わせに対応できるよう十分な人員体制を整えること
10.税・保険料の徴収について、本人の生活状況をよく把握し、徴収猶予や減免の措置を積極的に行うこと

 本日、中野区議会第1回臨時会が開かれ、総額約354億5千万円の補正予算案を全会一致で可決しました。専決処分ではなく、わざわざ臨時会を開き補正予算案を可決したのはリーマンショックの時以来です。

 中身としては、大部分を1人10万円の特別定額給付金が占めていますが、中野区独自の施策も含まれています。中身をご紹介すると

〇1人10万円の特別定額給付金とその事務費(約344億円)

〇税・国保・産業融資の窓口相談体制の拡充(約4700万円)

〇子育て世帯(児童手当受給者)へ一律1万円(約2億7千万円)

〇妊婦さんへこども商品券を1万円(約3600万円)

〇小中学生の自主学習支援のためタブレット、Wi-Fiルーター貸出(約3億8700万円)

〇就学援助世帯へ給食費500円×35日分支給(約4400万円)

〇私立幼稚園・保育園へコロナ対策費補助(約7400万円)

 

などがあります。他にも職員のテレワーク支援、コロナの影響で相場が大幅下落した古紙を回収する業者への支援金なども計上されました。

 

 党区議団を代表して、私が賛成討論に立ちました。接触時間を減らすため、討論をおおよそA4用紙1枚に収まる範囲にしなければならなかったので、実態や今後に向けての要望などを限定せざるをえませんでした。もっと言いたいことはあったのですが、それは今後に

 

以下が討論原稿になります。

 

 20200501ただいま上程されました第47号議案令和2年度中野区一般会計補正予算、第48号議案令和2年度中野区国民健康保険事業特別会計補正予算について日本共産党議員団を代表して、一括して賛成の立場で討論いたします。

 討論に先立ち、新型コロナウイルス感染症に罹患された方々、亡くなられた方々にお見舞いとお悔やみを、このような状況の中で医療機関をはじめ社会維持のために従事されている方々に感謝を申し上げます。

 最大の費目である特別定額給付金は、多くの区民・国民が「すべての人に一律10万円の支給を」との声を上げ、政府の方針を変えさせ実現させたものであり、極めて重要な意義を持っています。一方で支給に関わる業務は区市町村に任されたため、区には膨大な事務負担が発生します。適切な人員配置を行い、速やかに全区民に給付金を支給されるよう要望いたします。

 今回の補正予算案では、税や保険・経営融資相談の人員を充実させるための会計年度任用職員の採用や委託料の増が行われており、区民のきめ細かい相談に応じられる体制を整えるものとして評価いたします。

 就学援助世帯への昼食費の支給は、第1回定例会で結果が出された「子どもと子育て家庭の実態調査」に生活困窮度と食料の困窮の度合いに強い相関関係が見られたことからも、子どもの貧困対策として極めて重要なものであると考えます。また保育園幼稚園への感染症対策費用の一部補助も多くの関係者から待ち望まれていたものです。

 同時に、新型コロナウイルス感染症の広がりとともに、区民のくらし・生業に深刻な影響が発生している中、従来の枠にとどまらない様々な施策を展開することが必要ではないでしょうか。

 国の持続化給付金や東京都感染拡大防止協力金はありますが、対象外となった業種・事業者からは落胆の声も聞かれます。党区議団にも「卒業式や発表会などが中止されたため、3月の売り上げは大幅減少だが、4割の減少では対象にならない」という花屋、「夜7時からの開店のため、夜8時閉店にすると売り上げは全く期待できない」というバー、飲食店への納品が売り上げの多くを占めていた米屋では「飲食店にある給付金が納品業者にはない。家賃補償など当面のお金が欲しい」などたくさんの声が寄せられています。こういった制度の対象外とされた方々への区独自の支援制度を要望いたします。

 国民健康保険の減免制度創設に対して国からの財政支援が行われます。社会保険と比べて重い保険料負担を軽減すること、子どもの均等割保険料など国保独自の制度への減免など、思い切った対策を打ち出すことを求めます。

 昼食費の支給は重要ですが、一方で栄養バランスも考慮された給食の存在は子どもの発達にとっても欠かせません。希望者への食事の提供そのものも検討していただきたいと思います。また補正予算案でルーターやタブレット端末、通信費など、自宅学習環境整備が計上されたことを評価いたしますが、一方で学校休校による子どもの学業の遅れと、深刻な学力格差の発生も懸念されるところです。教員体制のさらなる拡充など、必要な対策を検討することを求めます。

 未だ新型コロナウイルス感染症の流行収束は見通せません。今後ますます区民のくらし・生業の困難さは増していきます。区には「必要な対策は全部行う」の気概をもって、施策を打ち出していっていただくことを要望いたします。わが会派も積極的な政策提案を行っていきます。以上で、議案に対する賛成討論といたします。

 2月15日から、第1回定例会が始まりました。私は2月17日に本会議での一般質問に立ちました。この間、区民アンケートなどで寄せられた様々な声を盛り込ませてもらいました。ありがとうございます。でも終わった後は、「あれが足りない。これが足りない」と思う事ばかり。次回はもっと良くなるよう頑張ります。

以下に質問本文とそれに対応した答弁をご紹介します。(答弁は私がテープ起こしをしたものであり、正式な議事録とは異なります)

 

 

2021年第1回定例会において、日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。20210217hatori

1.区長の政治姿勢について

(1)施政方針説明について

 一昨日行われた施政方針説明では、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する下で、どのような区政運営を行っていくのか、重要な方向が示されたと思っています。特に区長が重視している「子育て先進区」の実現の項目では、「生まれ育った環境に左右されることない地域社会を実現するため、セーフティネットの強化を図ってまいります」「貧困の連鎖を断ち切るという『未来』を見据えた視点とともに、現在困難を抱えている子どもへの対応を早急に進めるという『今』を大切にした視点が重要になります」など、来年度に区長が何をしたいのか、という思いが伝わってきたように思います。また地域包括ケア体制の実現についても、「地域の中で孤立している区民や、心身・生活上の課題を抱えながらも、様々な理由により自ら声を上げる事が出来ずにいる区民を把握していくことの困難さも現場から上がってきています」と述べ、地域包括ケア体制の実現のために区として重視したい方向が示されたと思います。「誰一人取り残さない」区政実現のために、具体的かつ積極的な施策展開を要望いたします。

 施政方針説明において「令和3年度予算編成において、極力区民サービスを低下させないよう配慮しながら事業や内部業務などの見直しを行いました」と述べ、こうした認識で予算編成に臨んだことも重要だと考えます。消費税増税に続く新型コロナウイルス感染症の拡大で区民生活も疲弊しています。わが会派が昨年実施した区民アンケートには4628名の方にご協力いただきました。その中で、この1年のくらし向きについて伺いました。約半数の方が「悪くなった」と回答しており、その理由は1位が給与、2位が消費税でした。

Q1.今後、コロナ禍でますます苦しくなる区民の苦難軽減のため、必要に応じて積極的に基金も活用し、財政出動していく必要があると考えますが、区長の見解をお尋ねします。

A.まず施政方針説明についての資金の活用についてでございます。厳しい財政状況の中におきましても、必要な区民サービスについては財源を投入し推進していく必要があると考えているところでございます。適時適切に基金を活用し、区民の命と健康を守るための施策に最優先で取り組んでいきたいと考えております。

 

 中野駅新北口地区のサンプラザ跡施設についてお尋ねします。先日の議会で施設概要が報告されました。235メートルにもなる超高層ビルと最大収容人数7000人にもなるアリーナなどからなるものです。区は今後、施行予定者候補との基本協定締結に移るとしています。しかし、施行するにあたって区側の考えが十分に煮詰まったものになったと言えるでしょうか。中野区区有施設整備計画(素案たたき台)にも「権利変換により保有資産については、今後の計画・調整の過程で公的資産の有効活用や公共施設の適正配置の観点から総合的に判断するものとし、権利床の民間事業者への貸付や土地のみでの所有も視野に入れて検討します」と書かれているだけで、区としてこの区の財産をどのように活用したいのか不透明です。区の態度が決まらないうちに基本協定締結などという事になったら、民間事業者の都合に振り回されてしまう事は想像に難くありません。

Q2.基本協定の締結は、区としての資産活用方針をしっかりと定めた上で臨むべきではありませんか。見解をお尋ねします。

A.続きまして新北口駅前エリア再整備事業に関わる資産活用についてでございます。基本協定枠が施行予定者として選定したことを確認し、区と施工予定者が協力して本事業の事業化を推進するにあたって役割分担や提案内容の継承など必要な事項を定めるものでございます。区は早期に地権者として資産活用の検討を進め、権利変換等について適宜施工予定者と区で協議を進めながら事業化を進めてまいります。

 

※再質問

Q.新北口地区の資産活用について、基本協定の締結について再質問いたします。役割分担などを協議しながら施工予定者候補と協議しながらということであったんですけども、質問の趣旨としましては区としての資産活用方針をしっかりと定めてから基本協定の締結に臨まないと役割分担の話し合いの中で事業者の都合に振り回されてしまうのではないかという問題意識があるからです。つまり区としての資産活用の方針、土地で持つのか、中に何の施設を入れるのかなど区が何をやりたいのかなど方針を定めた上で基本協定の締結の臨むべきではないかということでしたので再度の答弁を求めます。

A.資産活用方針については基本協定の締結と合わせて並行してしっかり検討していくということでございます。基本協定の締結後においても協議の中で施工予定者とその資産活用についての協議自体は行うということでございます。

 

(2)新型コロナ感染症対策について

 まずPCR検査の拡充についてお尋ねします。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑えるには、無症状者も含めたPCR検査の積極的な拡充こそ必要不可欠という、我が党が昨年から一貫して訴えてきた方針の重要性がいよいよ明らかになっています。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、「検査の文脈でいうと(宣言を)解除した後の都道府県で最も大事なこと」として「感染のリスクの高いところを中心に、無症状者に焦点を合わせた検査をやることによってリバウンド(再拡大)を防ぐ」ことだと述べました。尾身氏は続けて「リバウンドを防ぐためには、感染源を早く予兆(する)、隠れたものを早く予兆すると同時に、それによって感染の経緯がしっかりとモニターできる」と発言しました。

 この間、東京都の新規感染者は減少傾向にありますが、同時に接触歴等不明者の割合も減少傾向です。感染が急拡大する下で接触者追跡が行えず、無症状の感染者を見逃しているのではないでしょうか。感染者の減少に伴ってPCR検査件数が減っていることはさらに重大な問題です。この1年間を見ても新規感染者数が減少した時に検査件数も減らしてしまい、感染抑え込みを図らなかったことが第2波、第3波を招いてしまったことは明らかではないでしょうか。

 全国の自治体では今、無症状者も含めたPCR検査の実施事例が広がってきています。都内でも世田谷区や墨田区、葛飾区、羽村市などでは高齢者施設や介護施設での社会的検査の実施、もしくは費用の補助が行われています。中野区感染症発生動向調査週報においても施設内感染が発生していることが記されています。感染拡大を抑えるにはこれまでも再三指摘してきたように、無症状者を含む感染者の早期発見と早期保護・対応が不可欠です。国もようやく社会的検査の実施に足を踏み出し始めています。厚生労働省は2月4日、高齢者施設でのPCR検査の計画を出して検査を3月中に終え、実施状況を報告するように求める通知を出しました。東京都は都内の高齢者施設や障害者施設にアンケートを行い、希望する施設にPCR検査を行う計画を出しましたが、1回の検査ではクラスターの発生は防げません。施設におけるクラスター発生を防ぐためにも、定期的なPCR検査は欠かせません。新型コロナは発症2日前から、感染を拡大させることが分かっており、クラスター発生を完全に防ぐためには週2回のPCR検査を行う必要があります。

Q3.区は高齢者施設や介護施設、保育施設、医療機関の職員が定期的にPCR検査を受けられる体制を構築すべきです。見解をお答えください。

A.続きまして新型コロナウイルス感染症対策についてで積極的疫学調査についてでございます。区は令和318日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部通知及び、122日付東京都通知によって、調査の対象を医療機関や高齢者施設の関係者や同居者等に絞り込む臨時的な対応を行っているところでございます。軽症者や無症状者を見逃す恐れがあるとの疑問に対しては、東京都のモニタリング会議におきまして感染経路不明者の改善や、PCR検査に占める無症状症の割合が上昇していることから、そのような事実はないと考えております。いずれにしても本件につきましては臨時的な措置であるため区としては今後の状況を注視しながら適切に対応してまいります。

次に施設の職員に対するPCR検査についてでございます。区では現在、重症化しやすい高齢者施設において1名でも陽性者が発生した場合については当該施設のスタッフ全員及び同一フロアの入居者と幅広くPCR 検査を実施して参りました。また病院におきましては、院内感染が疑われる事例について広範な検査を実施しているところでございます。一方重症化リスクに乏しい保育園については積極的疫学調査の結果、濃厚接触者を特定して PCR検査を実施してまいったところでございます。ご指摘の定期的なPCR 検査につきましては、検査の間隔で精度に関する課題や施設の意向を確認しながら今後の在り方について検討してまいります。

 

 また全国では、大阪府泉佐野市が65歳以上の高齢者を対象とした無料のPCR検査を実施します。千葉県松戸市では全市民を対象としたPCR検査への補助事業を行います。那須塩原市ではプール方式を用いて1人200円でPCR検査を行えるようにしています。昨日は千代田区もPCR検査費用補助を4月から始めると発表しました。先ほど紹介した区民アンケートにおいてPCR検査への拡充についての設問では、希望する区民はいつでも受けられるようにするが76.2%、濃厚接触者だけでなく接書があった人まで行うが12.5%と、9割近くの区民がPCR検査の拡充を求めています。

Q4.区民に対しても、安価もしくは無料でPCR検査を受けられる体制を構築すべきではないでしょうか。

A.次にPCR 検査の拡充についてでございます。区は医師会の協力を得ながら、昨年5 PCR検査センターを設置するとともに、PCR検査を行う区内医療機関に補助を行うことで検査機関の拡充に努めてまいりました。区は積極的疫学調査で把握された濃厚接触者などに対する行政検査の他、かかかりつけ医や東京都発熱相談センターを通し必要な区民の方には医師の判断のもとで検査を受けられる体制が整っていると考えています。現在国は民間の安価な検査についても、その質や医療機関との提携の情報を公開する準備を進めており、希望者は適切な検査機関を選択できるようになると考えています。そのため区として独自に検査を拡充する検討は行っておりません。

 

 また、この提案を実施した場合、無症状の陽性者が増加し、ホテル療養や自宅療養が増えることが想定されます。今全国で自宅療養中に死亡するコロナ患者が相次いでいます。1月29日付東京新聞では自覚症状がないまま血中酸素飽和度が下がる「ハッピー・ハイポキシア」という状態になり、無症状や軽症だと思い込み、本人が気づかないまま重篤になっている可能性を指摘しています。この間、自宅療養中に亡くなる方が相次いでいると報道されています。私の知人にもコロナに罹患した方がいて、療養や後遺症のつらさ・不安を語ってくれています。区は自宅療養者に対しては1日1回の電話による経過観察を行っていますが、これでは容態の急変を見逃す恐れがあります。こうした事態を防ぐのに有効なのがパルスオキシメーターです。中野区は現在、東京都から貸与された分も含めて180台を所有していますが、パルスオキシメーターを貸し出しているのは自宅療養者のうち高齢者や基礎疾患がある方など一部にとどまっているとのことです。江戸川区では1000台を導入し、自宅療養者全員にパルスオキシメーターを貸し出しています。

Q5.重症化リスクをいち早く察知するためにもこうした取り組みが必要ではないでしょうか。区の見解をお尋ねします。

A.続きましてパルスオキシメーターについてでございます。区では他自治体に先駆けて令和2年春からパルスオキシメーターを随時購入し、さらに東京都からの交付分も併せて活用しています。入院待機者のうち、咳など呼吸器症状のある方や自宅療養者のうち高齢者及び基礎疾患を有する方など一定の基準のもとに 個別の状況を詳細に把握しながら対応してる所ございます。現在、自宅療養全てに貸し出すことは考えておりませんが、今後も自宅療養者の健康管理を適切に行い、重症化を防ぐ機器として有効に活用して参ります。

 

 また、自宅療養者が多くなれば、経過観察のための人員が必要となります。濃厚接触者の追跡調査は保健師がやらなければなりません。人員体制の強化は区としても課題だと認識していると思いますが、現状では保健師や看護師を募集しても人が集まらないと聞いています。「保健所の体制が強化できないから、検査の拡充に足を踏み出せない」という事になってしまってはいないでしょうか。経過観察は現在、事務の職員も行っています。

Q6.経過観察要員としての強化を含む体制の拡充が必要ではないでしょうか。答弁を求めます。

A.続きまして自宅療養者の増加に伴う保健所の体制強化についてでございます。自宅療養者への経過観察や疫学調査など新型コロナウイルス陽性者の安全確保や、感染拡大等の防止のため保健所の業務を着実に実施していく必要があることから、これまでも保健師や事務職員の応援体制や人材派遣の活用等によって必要な人員を確保してきたところでございます。来年度は保健所の保健師の定数を増やす予定でありますが、それでも人員不足が生じるようでございましたら、臨機応変に応援体制や人材派遣等の活用によって対応していきたいと考えております。

 

 PCR検査を行い、陽性になれば、2週間の自宅待機期間が生じます。正社員ならば、その間の給料はある程度保障されますが、自営業者やフリーランスなどの方は感染が収入減に直結してしまいます。そうなれば、当面の暮らしのために、体調が悪くとも仕事をするということに繋がりかねません。陽性になった方はしっかりと休める体制づくりが必要ではないのでしょうか。国民健康保険における傷病手当金・見舞金の事業者への支給は昨年取り上げた時点よりもさらに広がり、傷病手当金は5市2町、傷病見舞金は10市2町が行っています。

Q7.中野区においても改めて対象を事業者やフリーランスなど給与所得者以外にも拡大するよう求めます。答弁を求めます。

A.次に傷病手当金・見舞金の支給対象を事業者に拡大することについてでございます。現在国の制度設計に基づいて給与等の支払を受けている国民健康保険の被保険者を傷病手当金の支給対象としております。自営業者は他の制度で様々な支援がなされておりまして、現時点では傷病手当金の対象に加える考えはございませんが、今後の国の動向等を注視し適切に対応してまいります。

 

 続いて医療機関への支援をお尋ねします。区はPCR検査センターと協力して行政検査を受け入れる医療機関30カ所に対して、50万円の補助金を支給しています。区内でこの補助金を受け取っている診療所の方からは「マスクなどの現物支援と合わせて、助かっている」とお話を伺いました。同時に今、医療現場の方が不安に思っていることは「もしコロナが発生してしまった時には、その現場の責任にされてしまっている」という事だと伺いました。ひとたび感染が確認されれば、診療は止めざるをえません。小さな診療所はそのことが経営に大きな影響となることは想像に難くありません。杉並区ではPCR検査を実施する医療機関が従事者の感染等でやむを得ず休業した場合、業務再開又は縮小による経営継続に必要な経費を助成する事業を行っています。

Q8.中野区でも同様の取り組みを検討してはどうでしょうか。

A.次に医療機関への経営支援についてでございます。区はこれまでPCR 検査を実施している医療機関に対しまして支援金や準備金を支給するなど支援を行ってまいりました。医療機関に対しましては国や都の施策によっても様々な支援が行われていることから、医療従事者の感染等によりやむを得ず休業した場合、区が経営継続のための支援を行うことは考えておりません。

 

 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に関連してお尋ねします。新型コロナウイルス感染拡大を抑える「切り札」として期待されているワクチンですが、1月に世界15か国で行われた世論調査において、日本はワクチン接種意欲が最低だったと報じられています。そこには政府の新型コロナ対応への不信感もあれば、「1年でワクチン開発ができるのか」といった技術に対する不安など複雑な要因が組み合わさっていると感じます。2月8日付朝日新聞「科学の扉 ワクチン短期開発のわけ」という記事を読み、私自身、今回の1年という超短期でのワクチン開発に数十年の科学の成果が詰め込まれていることを初めて知りました。

 ワクチン接種を順調に進めるためには、体制を整えることともに、区民の不安な思いに応える周知が極めて重要と考えます。また同時に、ワクチンを接種したからといってウイルスに感染しないかは明らかになっていません。しかし一般には、「ワクチンを打ったからもう安心」という心情も生まれうると思います。周知においては、併せてこうした事態に対する注意喚起も十分に行う必要があると考えます。

Q9.区はどのような周知を考えているのでしょうか。お答えください

A.次に区民の不安を解消する広報についてのご質問でございます。接種券に同封するチラシ、区報ホームページを通じて今回のワクチン接種の説明などを周知していく予定でございます。ワクチンは接種によって発病予防効果や重症化予防効果が明らかではございますが、感染自体の予防効果は明らかになっておりません。したがってワクチン接種を受けた方についてもこれまでと同様に、マスク着用や手洗いなど継続的に行うようチラシや区報等を通じて啓発してまいります。

 

(3)基本計画・施設整備計画について

 続いて、中野区基本計画・中野区区有施設整備計画についてお尋ねします。

 まず基本計画についてですが、先日委員会報告された基本計画(素案たたき台)の重点プロジェクトにおいて、脱炭素が盛り込まれたことに安どしています。世界で「気候変動対策にとって勝負の10年」と言われている時に、重点プロジェクトに入っていないのでは認識が疑われてしまいます。しかし私は、「「活力ある持続可能なまちの実現」という重点プロジェクトの中に「脱炭素社会の実現を見据えたまちづくりを展開します」という項目で設けている記述の仕方には疑問があります。「グリーン・リカバリー」という言葉をご存じでしょうか。この言葉は、コロナ禍からの復興のカギとして、世界で大きく注目されています。これはコロナ禍からの復興にあたって、地球温暖化の防止や生物多様性の保全を実現し、よりよい未来を目指していくことを目指すものです。そのポイントは、①地球温暖化対策の国際協定である「パリ協定」の達成に貢献すること、②国連のSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも一致した施策を実施すること、にあります。つまり、コロナ禍からの復興に際して強力な経済政策が実施されることを大きな機会として、一気に「持続可能な社会」を実現しようというものです。現在の項目建てでは①産業の活性化、②まちづくり、③脱炭素、が「活力ある持続可能なまちの実現」というプロジェクトの並列的な課題として並べられています。気候変動対策はあれこれの課題と並列されるようなものではなく、前提とされるものです。脱炭素社会を実現してこそ、持続可能なまちが実現されるのであり、「産業の活性化」も「まちづくり」も脱炭素社会の実現に資するように進められなければなりません。

Q10.重点プロジェクト3について、脱炭素社会の実現を前面に出した記述に改めるべきだと考えますが、区長の認識はいかがでしょうか。お答えください。

A.次に基本計画という施設整備計画についてで重点プロジェクトにおける脱炭素社会についてでございます。脱炭素社会の実現にあたりましてはSDGsにおいても提唱されている通り、環境・経済・社会、この三つの側面から相乗効果を生み出していく必要があると考えております。3つ目の重点プロジェクト「活力ある持続可能なまちの実現」では、経済・まちづくり・環境について記載しておりまして、これらをはじめあらゆる分野において脱炭素社会の実現を視野において取り組みを進めていく必要があると考えております。そうした視点もふまえ重点プロジェクトの記述についてはさらに精査していく必要があると考えております。

 

 私は今回の基本計画改定にあたって、「誰一人取り残さない」という文言が重点プロジェクトや施策の様々な場面に入っていることを高く評価したいと思います。区長の言う「協働・協創」の実現のためにも、「自分が取り残されていない」という実感は必要不可欠です。2012年9月に内閣官房社会的包摂推進室がまとめた報告書「社会的排除にいたるプロセス~若年ケース・スタディから見る排除の過程~」では社会的排除について、「物質的・金銭的欠如のみならず、居住、教育、保健、社会サービス、就労などの多次元の療育において個人が排除され、社会的交流や社会参加さえも阻まれ、徐々に社会の周縁に追いやられていくことを指す。社会的排除の状況に陥ることは、将来の展望や選択肢をはく奪されることであり、最悪の場合は、生きることそのものから排除される可能性もある」と述べています。そしてその対策として、「リスクの共通性、複合性を念頭においた包括的な『社会的包摂政策』が必要」と述べています。

 基本計画において、こうした社会的排除に対応した社会的包摂政策の観点が必要だと感じます。日本における実質的に最初で最後のセーフティネットである生活保護行政については明日、小杉区議が触れますが、わが会派は再三、体制などの不備を指摘してきました。日本の生活保護の捕捉率の低さは多くの国民が金銭的欠如に苦しめられている事を意味します。

Q11.捕捉率を引き上げる施策及び成果指標の設定が必要ではありませんか。

A.次に生活保護の捕捉率を引き上げるための施策及び成果指標についてでございます。区民の資産把握ができないため補足率を成果指標とすることは困難でございます。区としては収入や資産が基準以下となり、生活に困窮した方は誰もが生活保護を受ける権利があるということを周知する努力を続ける必要があると考えております。引き続き関係部署、関係機関との連携力を入れ、誰一人として取り残さないという立場で支援してまいります。

 

 保険医療サービスからの排除はどうでしょうか。全日本民医連は経済的事由による手遅れ死亡事例を調査し、毎年少なくとも数十人が亡くなっていることを明らかにしています。経済的事由によって区民が保健医療サービスから排除されていることがあるのではないでしょうか。

Q12.区民に十分な保険医療サービスを提供するための施策と「十分な保険医療サービスを受けられていると感じる区民の割合」といった成果指標の設定が必要ではないでしょうか。

A.次に保険医療サービスに関する施策等の設定についてでございます。基本計画は区政の今後の方向性を示すものであることから、国民健康保険制度など国の制度等に基づいて運営していくことが義務付けられている事務につきましては成果指標の設定は行わない考えでございます。国民健康保険につきましては経済的な事由等によって必要な医療の受診が妨げられることのないよう法令の規定に基づいて保険料や一部負担金の軽減の仕組みの適切な案内と適用を行っているところでございます。今後も法令に基づいて適切に対応してまいります。

 

 今回、触れた中身は「誰も取り残さない」区政を実現するための一例にすぎません。困ったときに手を差し伸べてもらってこそ、区への愛着、「何かしたい」という気持ちが生まれるのではないでしょうか。ぜひ基本計画において、「社会的包摂」の視点を入れていただきたいと要望いたします。

 中野区区有施設整備計画についてお尋ねします。先日報告された中野区区有施設整備方針(素案たたき台)は、「区財政見通しの厳しさが増す中」としつつも、全体として区民施設の削減を極力行わないように考えられたものではないかと考えます。しかし同時に、児童館を現行の18施設から各中学校区に合わせた9施設にするという方針は簡単に納得できるものではありません。「施設再編・管理の基本的な考え方」には、「区民の日常生活圏域等を踏まえた適正配置」となっています。子どもの日常生活圏域は小学校区、中学校区となりますが、児童館の利用実態は乳幼児と小学生が過半を占めており、区が行おうとしている中学校区の配置とは合っていません。住民からすれば、何でそのような判断になったのか、理解しがたいのではないでしょうか。

Q13.中野区区有施設整備計画の策定にあたっては区民の納得と合意をしっかりとるように努力すべきだと考えますがいかがでしょうか。またそのために考えている取り組みをお答えください

A.次に国民の納得と合意についてでございます。区有施設整備計画素案の段階で意見交換会等を実施し、ご意見を伺った後に、案の段階でパブリックコメントの手続きを行う予定でございます。意見交換会等で頂いた意見は受け止め、児童館の配置について区としての考えをしっかり説明して参りたいと考えております。

 

 中学校区に1つの配置とした場合、地域によっては最寄りの児童館がかなり遠くなるところも生まれます。例えば明和中学校区は現行では若宮・大和西・鷺宮・西中野・大和の5つの児童館がありますが、計画を実行すれば1つに再編されることになってしまいます。私の家の近所にある若宮児童館ではこれまで、地域の住民が協力して多彩なイベントを実施してきました。こうしたことができたのは地域の身近なところに児童館があり、区職員が児童館にきちんと配置されていたからです。

Q14.児童館の再編にあたっては一律機械的に再編するのではなく、地域の状況を考慮して行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。

A.児童館の再編についてでございます。児童館の配置につきましては小学校の改築等に伴うキッズプラザ及び学童クラブの整備に合わせて、順次中学校区に1館の配置としていく予定でございます。具体的な配置につきましては立地、築年数、規模等を総合的に勘案し、検討を進めているところでございます。今定例会で報告する予定の区有施設整備計画(素案)においてお示ししたいと考えております。

 

 

2.中野区環境基本計画について

 区は来年度に中野区環境基本計画を改定するための作業を進めています。現在、世界ではこの10年間がパリ協定の目標である気温上昇を2℃未満に抑え、1.5℃未満に近づけるようにするための最後の機会だとみなされています。それだけに今回の改定において、中野区が2030年度までにどれほどの排出削減目標を掲げるのかが極めて重要です。国は昨年、菅首相が「温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする」という目標を表明しました。東京都は1月27日に小池都知事が「温室効果ガス排出量を2030年までに00年比で半減させる」と表明しました。排出削減目標を決めるにあたって、昨年の第3回定例会でも取り上げたカーボン・バジェット(炭素予算)という将来までのCO2排出量の上限を推計した上で、目標を決める方法が効果的です。先日、区民委員会で行った学習会において講師をしていただいた産業技術総合研究所の歌川学先生は、中野区のカーボン・バジェットは2017年度排出量の15年分にあたるCO2換算で1400万トンであり、そこから2030年度には2013年度比で59%程度の排出削減が必要と述べていました。

Q15.中野区でこうした目標を掲げる必要があるのではないでしょうか。お答えください。

A.中野区の二酸化炭素削減目標のあり方についてのご質問にお答えいたします。現改定を検討しております中野区環境基本計画において、ゼロカーボンシティ宣言を見据え、2050年に向け二酸化炭素排出量を実質ゼロとするよう2013年度比における2030年度までの削減目標を設定することを検討しております。

 

 中野区は区全体の排出の約半分が家庭部門から排出されており、次いで業務部門からも排出が多くなっています。これらの部門でどのように排出削減を進めるのか、具体的な施策がなければ全体の排出削減目標を定めても意味がありません。長野県では2050年までに最終エネルギー消費量を7割削減するとともに、これを上回る再生可能エネルギーを生産して実質的な排出量ゼロを達成する行程表「長野県気候危機突破方針ロードマップ」を作成しています。

Q16.中野区においても、どのような施策で何年までにどの程度排出量を削減するのか。家庭部門、産業部門など、部門ごとの排出削減目標と行程表を作成すべきではないでしょうか。お答えください。

A.次に部門ごとの排出削減目標や行程表についての御質問でございます。現段階では国が2050年に二酸化炭素排出量実質ゼロを達成するための2030年度の部門ごとの排出量削減目標を示していないことから、区としても部門ごとの排出量削減目標や行程表の作成は困難であると考えております。国が2030年度の部門ごとの排出量削減目標を明らかにした段階で、区の部門ごとの排出量削減目標の設定についても検討したいと考えております。

 

 2017年度は家庭部門からの排出は52%、業務部門が27%を占めています。しかし購入電力に着目した場合、中野区のCO2排出構造の姿は大きく変わり、購入電力が64%の排出量を占めていることが分かります。大規模な排出削減を進める上では、電力をこれまでの化石燃料由来から再生可能エネルギー由来に切り替えるエネルギーシフトが絶対に欠かせません。

Q17.それだけに2025年、2030年にどれだけの世帯、事業者でエネルギーシフトを進めるのかの目標設定を行う必要があるのではないでしょうか。

A.次にエネルギーシフトに向けた目標値の設定についてのご質問でございます。区の二酸化炭素排出量削減のためには、再生可能エネルギー電力へのシフトが重要であることから都が実施しています「再生可能エネルギー電力みんなで一緒に自然の電気」への切り替えを進める事業の周知などを行っているところでございます。今後も家庭や事業所における再生可能エネルギー電力への切り替えを推進してまいります。区は再生可能エネルギー電力の契約世帯数等を把握できないことから、世帯数や事業者数の目標値の設定は困難であると考えております。

 

 省エネを進められるような施策を講じる事も非常に重要です。業務部門の場合、家庭よりも電気の使用箇所・使用時間が長く、省エネ機器に設備更新した場合、削減量は家庭に比べても大きくなります。また、家庭部門においても以前にも断熱の重要性は触れたことがありますが、区内でほとんど浸透していない高断熱建物認証制度ではなく、新たな施策展開が求められているのではないでしょうか。

Q18.家庭や事業者のエネルギーシフトを応援するために、創エネ・省エネの設備助成を設けてはいかがでしょうか。

A.次に区民・事業者向けの設備助成についてのご質問でございます。区は令和3年度から家庭等に向けた蓄電システムの導入支援を始めることを考えております。今後、都の実施している補助制度などを参考にし、家庭や事業所を対象に再生エネルギーの活用や省エネルギーなどに資する設備の助成についても検討してまいります。

 

 大規模事業者としての中野区の努力も非常に重要です。これから建設する建物は当然、2050年以降も残ります。それだけにこれらの建物が排出ゼロを達成できるかどうかは事業者としての区の排出量に直結します。

Q19.新築の区有施設について災害期の活用の観点も含め、省エネと創エネを組み合わせてエネルギー消費量を実質的にゼロにすることした建物ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)を最低条件にするとともに、既存の区有施設について断熱改修などの省エネ、太陽光や地中熱の活用といったエネルギーシフトを行い、区有施設の脱炭素化を早急に実現する方針を持つべきではないでしょうか。

A.次に区有施設の脱炭素化実現のための方針についてのご質問でございます。区内の大規模事業者である区が建築物の脱炭素化を進めることは大変重要であると考えております。中野区基本計画の重点プロジェクトである「活力ある持続可能なまちの実現」を進めていく中で、区有施設の脱炭素化を実現するための方針についても検討してまいります。

 

 都市計画や再開発においても脱炭素の視点が極めて重要です。先日発表された中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備の中身においては、環境面について「ZEBを目指した省エネルギー性能」と明記されています。今回はこういった提案になっていますが、事業者募集要項では「地区内や周辺地域の環境性向上に資する施設整備」という文言しかありません。今後もこういった募集要項では、大量のCO2を排出する再開発が行われる可能性もあります。また、これらの大本になる中野区都市計画マスタープランも改定にあたって脱炭素のまちづくりに沿った全体構想及び地域別構想の記述の充実が必要です。

Q20.中野駅前を始めとする都市再開発でZEBであることを求めるなど、改定される中野区都市計画マスタープランについて、脱炭素を実現するための方策を示すべきではないでしょうか。

A.中野区環境基本計画についてのご質問のうち、都市計画マスタープランと脱炭素のまちづくりについてのご質問についてお答えいたします。改定中の都市計画マスタープランでは都市の骨格を作る全体構想の中で地球への環境負荷の少ない都市づくりへの方針を設定し、その方針に基づき各地区の特性に基づいたまちづくりが展開されるよう地域別構想を定めることとしてございます。この中で再開発事業や大規模建築等に伴う省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの利用促進及び都市緑化の推進など脱炭素社会に向けた都市づくりの考え方を示す予定でございます。

 中野区が高い目標と実効性ある計画を持つことを求めこの項の質問を終わります。

 

 

3.西武新宿線連続立体交差事業について

 区は現在、西武新宿線野方駅以西の連続立体交差事業について、西武鉄道に野方1号踏切除却の技術的可能性について委託調査をさせています。今年度末で調査が終わり、結果が報告されることになると思います。2260万円もの費用をかけた調査ですが、区は高架化を前提とした検討のみをさせていることを明らかにしています。その理由として区は、2014年に発表した中野区独自の構造形式の比較検討において、高架化が最適という判断が出たからだとしています。しかしその判断には疑問があります。これは都議会の井荻駅―西武柳沢駅間の連続立体交差事業に係る都市計画の議論の中なのですが、我が党都議団が都に対して、地下案の検討に際して複線シールドで検討したのかどうかを聞いても、東京都は一切まともな回答をしません。また東京都が行った、野方駅―井荻駅間の連続立体交差事業の比較検討においても地下案の検討は多数の施工実績がある複線シールドではなく単線シールドによって検討がなされています。そして先ほど紹介した中野区独自の比較検討においても地下案は単線シールドでの検討となっています。当然のことながら、単線シールドで地下化するとなれば、用地幅が現在の線路幅を超え、高架仮線方式と同様に多数の用地買収が必要となります。それに費用面での比較を加えれば、地下方式が不利になることは目に見えています。これは高架案が最適という結論を導くための為にするやり方ではないでしょうか。横浜市は相模鉄道本線の鶴ヶ峰駅連続立体交差事業において複線シールドでの地下化を採用しています。また、過去の高架化事例で、多数の用地買収が必要になり、施工期間自体が高架化の方が長かった実績も見込んで決定しています。こうしたことを考えれば、複線シールドで検討を行えば、最適案が変わる可能性もあったのではないでしょうか。

Q21.調査委託の前提となる2014年報告の構造形式の比較検討において、区は地下案について複線シールドでの検討をなぜ行っていないのか。お答えください

A.西武新宿線連続立体交差事業についてお答えさせていただきます。地下案におきます複線シールドの検討についてです。2014年に区議会に報告致しました構造形式の地下案については、現在事業中の中井駅から野方駅からの連続立体交差事業が単線シールドを予定していることから、野方駅から井荻駅間についても同じ工法である単線シールドにて検討しております。

 

 これまでも何度も言っている事ですが、野方以西の連続立体交差事業について区内全線地下化を事実上諦め、高架化を前提に調査委託をさせている事など現状は住民には何ら知らされていませんし、議論する機会も与えられていません。各駅周辺地区まちづくり検討委員会でのまちづくり検討においては「構造形式にとらわれず街の課題を検討する」という名目で、西武線について触れることを許されていません。これは「政策決定過程からの区民参加」と矛盾するのではないでしょうか。この間行われてきた意見交換会においても、区は事業者である東京都に参加を求める事もせず、構造形式についての区民の疑問に応えられていません。

Q22.西武線の構造形式について、住民と意見交換する場を設けるべきではないですか。お答えください。

A.次に区と住民による構造形式についての意見交換会でございます。連続立体交差事業の構造形式につきましては事業主体である東京都が選定するものであり、都市計画法の手続きも東京都が進めていくものでございます。東京都が行う都市計画法の手続きの各段階におきまして説明会や意見書の提出など区民の皆さんに意見を表明していただける機会が設けられております。そのため構造形式について区が独自に住民と意見交換する場を設けることは考えてございません。

 

 

4.羽田空港新着陸ルートについて

 羽田空港新着陸ルートについてお尋ねします。昨年に取り組んだ中野区民アンケートにおいて、羽田空港新着陸ルートについてどう思うかの設問では、全体として①騒音や落下物対策をきちんとすれば良いが49.2%、②環境悪化、落下物の危険が増えるため中止が39.5%、③分からない11.3%という結果でした。同時に、年齢や職業別に回答を見てみると興味深い結果も得られました。年齢別でみると、年代が上がるほど反対の声が増えていくとともに、職業別の回答では、正社員や非正規などと労働者は賛成が多い一方、無職や家事専業と言った日中は区内に居ると思われる方は反対が多くありました。ここから見て取れるのは、航空機が中野区内上空を飛ぶのを目の当たりにしている方は反対が多いという事です。区はこうした区民の声に耳を傾けてもらいたいと思います。

 わが党はかねてから騒音被害や落下物の危険が排除できない都心上空を低空飛行するルートは撤回すべきと主張してきました。区は「対策は取っている」などと言ってきましたが、その中身は見舞金など、事故が起こった後の被害補償に過ぎません。昨年12月4日に那覇空港発羽田行きの日本航空機が那覇空港の北約100キロメートル、高度約5,000メートルにてエンジンブレードの破損・落下事故を起こし、航空重大インシデントと認定されています。事故原因は未だ調査中とのことですが、エンジンブレードの疲労破壊も指摘されており、そうであればいつ落下物となるかは全くの偶然で、下手をすれば当該航空機は羽田行きであったことから中野区内に落下したかもしれません。

Q23.この事故について区はどう認識しているのでしょうか。お答えください。

A.羽田空港新着陸ルートについてのご質問にお答えいたします。国土交通省は昨年12月の重大インシデントにつきまして、国内航空会社に航空機のエンジンのファンブレードの点検頻度の引き上げを指示するなど、再発防止対策を講じていると聞いております。国により航空輸送の安全が確保されることが重要であると考えております。

 

Q24.また、このような事故を前にして、都心上空低空飛行はやめるように、国に対して意見すべきではないですか。お答えください

A.羽田空港の新飛行経路につきましては国が昨年6月と12月に固定化回避に係る技術的方策検討会を実施しており、区としてこの検討の内容を注視していきたいと考えております。

 

 羽田空港の増便のためと、このルートを導入しておきながら、コロナ禍の下で需要は低迷し、増便の根拠はどこにもありません。都民の安全・安心な生活を脅かす新ルートは撤回すべきです。

 以上で私の全ての質問を終わります。

Real time web analytics, Heat map tracking

Copyright © 2024 羽鳥だいすけ Rights Reserved.